私の生きざま 8

行き場を失って、医療刑務所に職を求めた。
そこは、入ってみると意外なほどの自由があった。
医療刑務所での生活が長くなった。
その理由のひとつは、当時の所長にあった。
見識のある人だった。
共に居たいひとだった。
その所長が定年を向かえる時期が来た。
所長が居ない場所には居る意味がなかった。
私も身の振り方を考える必要があった。
ふと思いついたのが開業だった。
それまでに開業医というアイデアが、頭に浮かんだことはなかった。
思いついてみると、そのアイデアに魅了された。
組織やひとに気を遣うことがなく、自分の責任において自由に仕事が出来る。
仕事と自由の両立!
そういう想念が浮かんできた。
頭に浮かんだその思いに魅せられた。
それ以外には考えられない名案だった。
開業資金の準備がなかった。
自宅を処分してそれにあてた。
何の躊躇も不安もなかった。
いそいそとことを運んでいた。

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